今回は、交通事故を起こしてしまった場合、気になる刑事処分についてお話します。
物損事故では、わざとぶつけた場合でもないかぎり、普通は刑事責任は問われません。
これに対し、人身事故では、自動車運転過失致死傷罪のほか、飲酒運転などの場合には、危険運転致死傷罪などの刑事責任が考えられます。
刑事責任というと、逮捕のイメージを持つ人もいますが、交通事故の場合には、逮捕されずに手続が進行する場合が多いでしょう。
その手続としては、まず、警察官から事情聴取や現場検証などの捜査がなされたあと、検察官から補充的に事情聴取されます。それから、検察官が、事故の内容や示談状況などを踏まえて、正式な刑事裁判をするか、罰金の支払いを求めるか、不起訴とするかを判断します。
つまり、刑事手続の中でも、正式な刑事裁判にかけられるケースは、ごく一部なのです。自動車運転過失致死傷罪や道交法違反といった、通常の交通事故の場合には、正式な刑事裁判となるのは、わずか2%以下と言われています。
さらに、正式な刑事裁判となった場合でも、判決に執行猶予が付けば、刑務所に行くことにはなりません。
このように、交通事故の刑事処分には、重いものから軽いものまで、段階的に様々な処分があります。万が一、人身事故を起こしてしまった場合でも、まずは、気をしっかりもってご相談ください。