交通事故の損害賠償額を算定する際、「過失相殺」ということが問題となる場合があります。
よく、「この事故の過失割合は20:80だ」とかいわれるものです。
たとえば、A車とB車が交差点で衝突して、A車の損害が100万円、B車の損害が30万円だとします。双方の過失割合がA車:B車=70:30だとすると、それぞれ自分の過失分は相手に請求できませんから、Aが請求できる金額は100万円×(1-0.7)=30万円、Bが請求できる金額は30万円×(1-0.3)=21万円ということになります。
この場合、AがBに21万円支払い、BがAに30万円支払う、という処理をすることもありますが(クロス払い)、お金が行ったり来たりするのが面倒ということで、双方が合意すれば、相殺処理して、BがAに差額の9万円を支払うという処理をすることもあります(相殺払い。相殺払いの場合、Aが賠償保険を使用するのであれば、Aは自分の任意保険会社から21万円を支払ってもらえます)。
この「過失割合」は、示談交渉か、あるいは、民事裁判(示談で決着がつかない場合)において決定されます。
よく、「現場で警察官が、『この事故はBの方が悪い』と言っていました!」とおっしゃる相談者の方がいますが、あくまでそれは警察官の「個人的な見解」にすぎず、警察官が双方の過失割合を決定する権限はありません。
自動車事故の過失割合については、道路交通法の規制を基本に判断されますが、今日では、過去の裁判例から、事故類型ごとにおおよその過失割合が示された文献が刊行されています。