Q.子ども(4歳)が保育園に行く途中、保母さんが手を放した瞬間にクルマにひかれる事故にあいました。保母さんについても「過失相殺」されるのでしょうか?
A.「過失相殺」とは、事故の「被害者側」にも「過失」がある場合に事故の当事者の「過失」の割合分の金額を損害賠償金額から減額することをいいます。
「過失相殺」は事故の損害を当事者に公平に分担させるためのものなので、被害者と「一体をなすとみられるような関係」がある者に「過失」があれば「被害者側」の過失として「過失相殺」をしてよいとされています。
しかし、保育園の保母さんは一般的には「被害者側」にあたらず、「過失相殺」はされません。
幼児が被害者の場合、大人の監督の態様をめぐって「被害者側の過失」の割合などが複雑となります。また、自動車に家族が同乗していた場合など、被害者が複数いれば、「被害者側の過失」の割合も複雑となります。
交通事故に関係する人が複数の場合、「被害者側の過失」が複雑となりますので、交通事故専門の弁護士にご相談ください。
1 「過失相殺」とは
「過失相殺」とは、事故の「被害者」にも「過失」がある場合にその「過失」の割合分の金額を損害賠償金額から減額することをいいます。
一般的には、小学校低学年程度で、ものごとの道理を判断できるので、不注意あれば「過失」があるとされ、「過失相殺」されることになります。
しかし、ものごとの道理を判断できない幼稚園・保育園児の場合は、「過失相殺」はされないことになります。
2 「被害者側の過失」
(1)「被害者側の過失」とは
「過失相殺」は事故の損害を当事者に公平に分担させるためなので、被害者本人のほか、ひろく「被害者側の人」の「過失」が含まれるとされています。
判例では、被害者と身分上・生活関係上、一体をなすとみられる関係にある者が「被害者側」とされています。こうした関係にある人の不注意を「被害者側の過失」といいます。
(2)「被害者側の過失」の例
「被害者側」の例としては、助手席にいた妻が被害者で運転していた夫が「被害者側」とされる場合などが典型といえます。
そのほか「被害者側」として、幼児を監督する父母や、その被用者である家事使用人などがあります。
例えば、親などが通園途中で幼児の手を放した隙に幼児が交通事故にあった場合、きちんと監督をしていなかったことが「被害者側の過失」として「過失相殺」される場合があります。
これに対し、保育園の保母さんが通園途中に幼児の手を放したスキに幼児が交通事故にあった場合、園児と身分上・生活関係上一体をなす関係とまではいえませんから、「被害者側の過失」にあたりません。ただし、保母さんが交通事故の一因となっている場合には、保母さんも損害賠償責任を負うことがあります。
3 「被害者側の過失」の割合
幼児が被害者の場合、大人の監督の態様をめぐって、「被害者側の過失」があるのかないのか、あるとしてもその割合が問題となります。
また、自動車に家族が同乗していた場合など、被害者が複数いれば、「被害者側の過失」の割合が問題となります。
このように、交通事故に関係する人が複数の場合、「被害者側の過失」が複雑となりますので、交通事故専門の当事務所にご相談ください。