Q.子ども(7歳)がクルマにひかれ、ほとんど失明するような重大な障害が残りました。この子が不憫でなりませんし、これから先どう育てていけばいいのかと思うと不安でなりません。こうした親の精神的な苦痛にも慰謝料を請求できるのでしょうか?
A.お子さんが交通事故にあわれた場合、親の方も精神的に辛いことと思います。
法律では、家族を失ったことによる精神的苦痛による損害について、一定の近親者が慰謝料を請求できることが定められています。
一定の近親者としては、父母・配偶者・子と実質的に同視できる身分関係がある者であれば認められます。そして、法律に定められているわけではありませんが、死亡した場合に匹敵するような精神的な苦痛を受けた場合も、近親者に慰謝料が認められる場合があります。
加害者側の保険会社が提示する慰謝料の金額は、近親者の慰謝料が含まれていなかったり、過去の裁判例による基準よりも著しく低かったりする場合があります。
慰謝料の金額が妥当かどうかは、専門の弁護士にご相談ください。
1 近親者の慰謝料請求
「慰謝料」とは、精神的損害に対する賠償金のことをいいます。
交通事故の場合、財産的な損失だけでなく精神的苦痛も被りますから、被害者は加害者に対して慰謝料を請求できます。
大切な人が交通事故で亡くなってしまったら、ご家族の方にとっても精神的苦痛が大きいと考えられます。
そこで、一定の近親者には、被害者が死亡したことによってご自身が被った苦痛に対する慰謝料(近親者固有の慰謝料)が法律で認められています。
2 近親者が慰謝料を請求できる場合
(1)近親者の範囲
近親者として慰謝料請求できる人は、法律では、父母・配偶者・子と定められています。しかし、判例では、被害者との間に父母・配偶者・子と実質的に同視できる身分関係があれば、近親者固有の慰謝料を請求できることが認められています。
例えば、被害者の夫の妹で、長年にわたり被害者と同居し、その庇護のもとに生活を維持し、将来もその継続を期待していた場合などです。
(2)損害の範囲
法律によると、「生命を侵害」されたこと、つまり、被害者が死亡した場合に限り、遺族固有の慰謝料が認められています。
しかし、判例では、被害者が死亡した場合でなくても、死亡した場合に匹敵するような精神的な苦痛を受けた場合も、近親者の慰謝料が認められる場合があります。
例えば、幼児に失明のような大きな障害が残り、歩行にも困難が伴うような場合などでは、近親者の慰謝料が認められることがあります。
3 近親者が慰謝料の金額
慰謝料の金額は、過去の裁判例による基準があります。この基準によれば、被害者が死亡した場合の慰謝料には、近親者の慰謝料も含まれることになっています。
しかし、加害者側の保険会社が提示する慰謝料の金額は、近親者の慰謝料が含まれていなかったり、過去の裁判例による基準よりも著しく低かったりする場合があります。
慰謝料の金額が妥当かどうかは、交通事故専門の当事務所にご相談ください。
※こちらもご覧ください(交通事故の賠償金と慰謝料のページ)