弁護士の田代隼一郎が、交通事故の治療費打ち切りの予防と対策について動画で分かりやすくご説明させていただきました。ぜひ、ご覧くださいませ。
こんにちは。弁護士の田代です。
交通事故で怪我をした場合、加害者が任意保険に入っていれば、加害者の保険会社に治療費を払ってもらいながら受診することができます。とはいえ、その後、症状が完治するまで治療を受けられるケースは稀で、多くの方は、どこかのタイミングで、加害者の保険会社から治療の打ち切りを通告されます。
当事務所でも、このような相談を沢山受けてきました。そこで、今回の動画では、打ち切りの予防と対策についてご説明いたします。
打ち切りまでの治療期間は、何より、怪我の重さが基本的な判断要素です。例えば、脳の損傷や骨折などの怪我だと治療期間も長く認められますし、他方で、打撲や擦過傷などでは治療期間は短く判断されます。また、頸椎捻挫などの自覚症状を中心とする場合には、車の損傷状況、つまり修理費の金額などが怪我の大きさの判断要素とされます。
また、通院頻度についても一つの考慮要素とされます。通院頻度が極端に少ない場合には、大して治療の必要性はないのではないかと判断されがちです。他方で、頻度が多ければ多いほどよいのかというと、そういうわけでもありません。毎日通院している場合などには、逆に、適切な治療とは疑わしい、あるいは、過剰診療ではないかなどという疑念が生じます。頸椎捻挫や腰椎捻挫等の神経症状の場合の保険会社の感覚としては、概ね、一週間に2回程度の治療で、かつ、2週間に一回程度は医師に受診してもらうことがオーソドックスな治療経過といえるのではないでしょうか。
また、治療内容についても注意が必要です。例えば、治療といっても、湿布やホットパックを漫然と続けるだけでは、あまり有効性は感じられません。また、整骨院の併用についても注意が必要です。万が一、整骨院治療の必要性が争われた場合、医師の指示がない限り、なかなか必要性が認められず、高額な治療費が自己負担とされるリスクがあります。
最後に、打ち切りとなってしまった場合の対応についても、簡単にご説明いたします。保険会社からの治療費の支払いが打ち切りになっても、一旦ご自身で治療費を立て替えることで治療を継続することは可能です。その場合、立替分の治療費については、後から加害者やその保険会社に請求することになります。ただし、立替分の請求については、加害者の自賠責保険の枠が残っていれば比較的早期の回収が期待できますが、そうでない場合には、回収にも時間がかかりますし、最悪、回収できずに自己負担になってしまうリスクもあります。そのため、打ち切り後の治療費については、医療機関に相談の上で健康保険に切り替えてもらうことをお勧めします。
以上、今回の動画では、打ち切りの予防と対策についてご説明しました。なお、このテーマについてもう少し詳細に学習したい方は、自動車保険の基礎知識シリーズ第3回の動画もご覧いただくと良いかと思います。
最終更新日:2019年9月11日
著者紹介
弁護士 田代 隼一郎
おくだ総合法律事務所 所属
平成24年 弁護士登録 福岡県弁護士会所属
九州大学法学部卒 大阪大学大学院高等司法研究科修了