今回は、歩行者や自転車の損害賠償責任についてご説明いたします。
皆様は、歩行中の事故、あるいは、自転車を運転中の事故と聞いてどのようなイメージをもたれるでしょうか?
被害事故、つまり、被害者になるイメージが多いのではないかと思います。
ところが、被害者ではなく加害者、つまり、歩行者や自転車が損害賠償責任を負うことは意外と身近にあります。
例えば、道路を横断中に自動車に跳ねられたような場合、信号機や横断歩道の状況などによって歩行者や自転車にもいくらかの責任が生じることがあります。そのような場合、歩行者や自転車運転者の方が、ぶつかった相手の車の修理費などを支払わなければなりません。
つまり、基本的には被害者であるはずの方でも、責任の割合に応じて加害者の立場に立たされることも少なくないのです。
弁護士がそのような相談を受けた場合、最初にアドバイスをするのは保険の確認です。
個人賠償責任保険という保険がありますが、相談者の方やその家族が個人賠償責任保険に入っていれば、損害賠償の負担を保険でカバーすることができます。
そして、個人賠償責任保険には、実は、多くの方が知らないうちに加入しています。
例えば、自転車を購入するとき、クレジットカードを作るとき、あるいは、子どもの入学手続の際に知らず知らずのうちに加入している、というケースが多くあります。
このように、保険を確認することは、被害者の立場だけではなく、加害者の立場からもとても大切なことです。
私達弁護士は、相談を受けたとき、このような見落としがないように適切にアドバイスできるよう、いつも心がけています。ぜひご相談ください。
著者紹介
弁護士 田代 隼一郎
おくだ総合法律事務所 所属
平成24年 弁護士登録 福岡県弁護士会所属
九州大学法学部卒 大阪大学大学院高等司法研究科修了