症状固定と言われたら
症状固定とは?
症状固定とは、症状が固定した状態、つまり、「これ以上治療を続けても症状が改善しない、よくならない」という状態を言います。
交通事故で怪我をした場合、病院で治療してもらいますが、治療を続けた結果、どこかの時点で、「怪我が治る」(治癒)か、「症状が残ってしまう」(症状固定)かのどちらかになります。
いったん、「症状固定」ということになると、「これ以上治療を続けてもよくならない」つまり「これ以上の治療は無駄」ということになります。したがって、その後の治療費は、「無駄な治療費」、つまり、「交通事故と因果関係のない治療費」ということになり、賠償の対象とならないことになります。
(動画)「症状固定にした方がいい」と言われたら
車を運転中に追突されたAさん、「頸椎ねんざ」で通院していました。
病院代は加害者の保険会社が負担してくれていましたが、3ヶ月が経過したころ、保険会社の担当者から「そろそろ症状固定ということにしませんか。症状固定後は当社から治療費のお支払いはできませんが、自賠責の後遺障害の認定が出ると、その分の慰謝料として追加で75万円お支払いできます。あなたの怪我だと、後遺障害の認定が出ると思いますから、もしまだ痛いようであれば、この75万円と健康保険を使って引き続き病院に通えばいいですよ。」と言われました。
Aさんは、まだ痛みが残っていたのですが、とりあえずまとまったお金がもらえて通院できるのであれば、と考えて、お医者さんに頼んで後遺障害の診断書を書いてもらい、後遺障害の等級認定を申請しました。
ところが結果は「非該当」。つまり、後遺障害は認められないということになってしまいました。
Aさんは、「話が違う」と保険会社の担当者にクレームをつけましたが、「認定するのは当社ではないので、、、異議申立の制度はありますが、、、」と、全く取り合ってもらえません。Aさんは困ってしまいました。
最近、このような事例をよく耳にします。
Aさんのように、いったん、後遺障害の診断書が出てしまった場合は、後遺障害が非該当だったからといって、相手方の保険会社が、その後の治療費支払いを再開してくれることはありません。医師が後遺障害の診断書を書く、ということは、「これ以上治療しても効果がない」と判断しているということですから、保険会社から見れば「症状固定後の治療費は、事故と因果関係のある損害ではない」ということになってしまうからです。
また、「異議申立」という制度もありますが、新しい資料がない限り、通常は認められないと考えておいた方がよいでしょう。
このような場合、かならずしも相手方保険会社の担当者に悪意があるとは限りませんが、うかつに話しに乗ってしまうと、Aさんのように、思いがけない結果になってしまうことがあるのです。
相手方保険会社から「症状固定」の話しが出た時には、主治医はもちろん、弁護士など、交通事故の賠償手続に詳しい専門家に相談された方がよいでしょう。